2017年11月4日土曜日

【コラム】卵巣がんの腹膜播種について過剰に恐怖心を煽る病院等に注意ください

いつもスマイリーの活動にご理解いただきありがとうございます。
代表の片木です。
  
最近、スマイリーに「腹膜播種治療」の専門性を掲げる医療機関に関する問い合わせが増えています。
 
卵巣がんに「腹膜播種」はよくあります。
よくある話なので、卵巣がんの治療を行う先生方はその対応もしっかりできることから特別なにか専門的な医療機関にかかる必要はありません。
 
しかし、一部の医療機関が過剰に不安を煽る(1ヶ月以内に死に至るなど)言葉をホームページに書き、無料で電話相談を受け付けるとし、電話でも「今すぐ自分のところで治療をしないと死ぬ」「自分は腹膜播種の専門家だから自分だけが治せる」といった呪いのような言葉を言われたという相談が増えています。
腹膜播種に関する「教えて!●●●●!」系の口コミサイトには腹膜播種に悩む患者さんに、医療職だと名乗る人物がこの医療機関をオススメしているも見受けられることからその医療機関にたどり着く患者さんも多いようです。
 
しかしよく考えてください。
口コミサイトの回答者は本当に
「卵巣がんを熟知した専門家がすすめているのでしょうか」
「医療職だと名乗る人物は本当に医療職なのでしょうか」
「その医療機関が宣伝のために解凍しているのではないでしょうか」
(あくまでもスマイリーの推測)
つまり、ネットでの回答は誰でもできるということです。

また、腹膜播種の専門という医師は電話相談等で患者さんの不安を過剰に煽るそうですが、そんな医師が患者さん本位の治療を本当に行ってくれるのでしょうか。
またその医療機関の設備は、患者さんが安心して治療を受けられる設備があるように見えますか?
 
どうか腹膜播種を過剰に怖がらないでください。
もちろん、卵巣がんと向き合う患者さんが日々不安の中におられて「何かいい方法がないか」考えられる気持ちは理解していますが、それを逆手に取り、不安を煽るビジネスのようなものが増えていることも知ってください。
 
ちなみに5年前、2012年の婦人科腫瘍学会でスマイリーはブースを出していたんですが、腹膜播種専門を名乗る医師が私の不在時にブースにきたそうです。
当会の会員が治療中であることを伝えると「僕にかからないと1ヶ月以内に死ぬよ」と言ったそうです。
ブースに私が戻った時には5人のスタッフが真っ青な顔をしていて驚いたのですが(その日に参加していたのは、初発治療が終わったばかりの患者さんや再発治療中の患者さんだったので)、その5人全員がそんな腹膜播種専門の病院に行かなくても今も生きています。
本当に患者の気持ちをなんだと思ってるんだと、怒りを覚えます。
 
どうか、今の主治医とみなさんのがんの状況をしっかり話し合いどの治療が最善か、効果や副作用をしっかり聞いて、またみなさんが生活面で優先したいことなども伝えた上でどうすればいいか話し合ってください。
場合によってはセカンドオピニオンも取られるといいと思います。
 
また、腹膜播種や腹水に里芋と小麦粉を練ったものをお腹にはり、湿疹みたいなのが出たら好転反応とするような民間療法を宣伝しているサイトもあるようですが、それで皮膚障害が起きてしまって辛い思いをされている患者さんもおられますのでご注意いただけましたら幸いです。
自己判断をする前に医師に、腹水が辛いなど伝えて適切な対処をしてもらえれば幸いです。
 
近日、スマイリーでは腹膜播種の不安を過剰に煽るこうした医療機関について注意喚起してもらうよう学会等にも働きかけるつもりです。