2018年1月15日月曜日

【お知らせ】卵巣がん体験者の会スマイリーの活動継続について

いつもスマイリーの活動にご理解、ご協力、ご支援ありがとうございます。
代表の片木です。
今日はみなさんに大切なお話があります。
 
卵巣がん体験者の会スマイリーは2006年9月1日に当時問題となっていた抗がん剤のドラッグラグ問題を解決するために立ち上げました。
スマイリーを作るきっかけになった患者さん(本来なら代表になっていただくべき方でした)が「卵巣がん患者さん、家族だけじゃなく、医療者や会社の同僚、友人など多くの卵巣がんと出会った人、卵巣がんのことを知ってくれた人に助けてもらってこの問題を乗り越えたい」「私たちの活動が患者さんの笑顔につながるように」という願いを込めて、仲間たちと話し合った結果、「卵巣がん体験者の会 スマイリー」と名前をつけた日から気づけば11年半近く経とうとしています。
2018年1月までにスマイリーに参加してくださった患者さんは、のべ650人を超えました。
 
2009年4月に抗がん剤ドキシル、2011年2月にジェムザール、ハイカムチンの承認がされたことにより、本来の活動目的を達成しましたが、それまでの間にも「がん対策推進基本計画」により拠点病院の整備が進んだり、標準治療という言葉が広がってきたり患者さんを取り巻く環境は大きく変わりました。
そこで改めて「私たちの活動全ては卵巣がん患者さんのために」というメッセージとともに相談支援や、おしゃべり会、世界卵巣がんデーなどの啓発、正しい医療情報を勉強する場の提供など様々な取り組みを続けて参りました。
 
さて、11年半続けてきたスマイリーの活動ですが、2018年度(2018年4月1日〜2019年3月31日)までとさせていただき、2019年3月31日に解散させていただくこととさせていただきます。
  
残り1年と3ヶ月の間に、会員さんには可能な限り、各地のいい活動をしている患者会、患者支援団体を会員さんにはご紹介していきたいと思います。
また、スマイリーを解散しても、卵巣がん患者さんの相談を受ける活動は個人として可能な限り続けていきたいと思ってます。
 
突然の発表で驚かれた方も多いと思いますし、卵巣がん患者さんやご家族のためにやり残した課題はないかと言われると山積みなのもわかっておりますが、長い時間をかけて考え続けた結果の決断でありますので、ご理解いただけましたら幸いです。
 
来年の3月末までの残り1年3ヶ月はこれまでどおり患者さん、ご家族のためにという信念を忘れず活動を続けて参りますのでよろしくお願いいたします。
 
2018年1月15日
卵巣がん体験者の会スマイリー代表 片木美穂

2017年12月26日火曜日

【お知らせ】第55回日本癌治療学会学術集会市民公開講座についてのレポートが掲載されました

いつもお世話になっております。

10月21日に開催された第55回日本癌治療学会学術集会市民公開講座に関するウェブ採録が朝日新聞社のサイトに掲載されました。
「それぞれの癌」と共に、「それぞれの生」を生きる
http://www.asahi.com/ad/ganchi2017/
当会代表の片木美穂もご講演の機会をいただきました。
ダイジェスト版(PDF)はこちらからご覧いただけます。
http://congress.jsco.or.jp/jsco2017/user_data/upload/File/jsco2017/171126_asahi.pdf
 
また片木の講演の様子は、ウェブマガジンのエイジングスタイルにも掲載されています。
http://www.agingstyle.com/2017/12/26002336.html?p=1

このような貴重な登壇の機会をくださった第55回日本癌治療学会会長渡邉昌彦先生、またウェブでの採録公開までコーディネートくださった株式会社コングレさま、朝日新聞社さまに心より感謝申し上げます。

【お知らせ】スマイリー冬季休業のお知らせ

いつもお世話になっております。

スマイリー事務局は2017年12月26日から2018年1月7日までお休みさせていただきます。

その間も、SNSでの意見交換などSNSはご自由にご利用可能です。

冬季休業中ではありますが、1月6日の新年会としゃべりばは開催します。

また緊急的な相談支援などは可能な限り対応しますが、お電話に出ない場合は時間を改めて掛け直していただけましたら幸いです。

メールについては対応は年明け8日以降になります。
たいへん申し訳ございませんが、お電話にてまずはご連絡ください。
 
新規入会についてはメールでお受けしますが、少し時間をいただくこと、また4月から新年度になりますので、入会後すぐに(2月1日目やす)次年度更新の連絡が来ることをご理解いただきご入会ください。

2017年度は事務局体制も変わり色々ご迷惑をおかけしました。

2018年度もよろしくお願いいたします。


【コラム】2017年もありがとうございました。

いつもスマイリーの活動を応援いただきありがとうございます。
スマイリー代表の片木です。
2017年も残すところ数日になりました。
みなさんにとってどんな1年だったでしょうか。

スマイリーの主な活動

1月:新SNS移動開始
2月:新年会 会員更新登録開始
4月:新年度活動開始 おしゃべり会
5月:世界卵巣がんデー、東京卵巣がんフォーラム
6月:おしゃべり会@大阪
8月:スマイリーおしゃべり会
9月:リレーフォーライフジャパン芦屋、グローバソン
11月:しゃべりば、ヒルドイド要望

そして、多くの患者さんから卵巣がんについてご相談をいただきました。


数年前に作ったエクセルシートを使っているのですが、お一人の相談の上位2項目をチェックしているので、治療や抗がん剤、また副作用の相談がもっとも多くなりました。
でも、実際お話ししていると、それだけでお話って基本終わらなくて、代替医療とか心の不安みたいなものが多いんですが、それらが顕在化しないのでもう少し集計方法を考えたいなと思います。
・・・と言いつつこれ以上入力作業を増やすと自分が辛いというジレンマもあるんですが。
 
一番多かった質問は、「初回化学療法がどうして病院ごとに違うのか」ということ。
そして「アバスチンの維持療法」についてもとても多かったです。
タキソールとカルボプラチンの6クールの治療でどうしても一区切りみたいな気持ちになるなか、1年近く維持療法を続けるのは患者さんのモチベーション維持、また薬剤費も安くないことから年間を通じて高額療養費制度があるとはいえ毎月数万円の負担が大きいこと。
そして維持療法の間、副作用を年間通じて感じることが心にも体にも大きな負担になっていると感じました。
卵巣がんの初回化学療法について」というコラムにも書かせていただきましたが、21クールは治験の結果を受けてのことですが、そこをしっかり説明すること、また卵巣がん治療ガイドラインで紹介されているグレードAの治療やグレードBの治療があるなかで、アバスチンの維持療法は治療期間が長いこと(副作用が出やすい人には年間を通して副作用があること)、経済的負担も大きく長いこと、どうしてその治療を進めるのかをしっかり説明して欲しいと感じ、年明けにでも学会に対して要望を出すことを検討しています。
 
またいまだにセカンドオピニオンに行きたいというと嫌な顔をされた、不安があるからセカンドオピニオンに行ったのに、セカンドオピニオン先で「なんのために来たの」なんて言われて辛い思いをしたという患者さんの相談も多いです。
何万円ももらって時間枠もとっていただくのにそんな扱いをされると患者さんの心は折れてしまいます。
そういうことを減らすためにもっと患者さんの声を伝えなきゃいけないなと思いました。
 

そのほかの活動

そのほかにも色々な活動をさせていただきました。

(患者支援・勉強会等)

しゃべりばをテスト開催させていただきました(2月でテスト終了)。
未承認の医療について有志で学ぶ勉強会を開催しました。
パープルストライド(すい臓がん啓発)に参加しました。
世界卵巣がん連合のインタビューに協力しました。

(学会)

CRCと臨床試験を考えるあり方会議2017イン名古屋のプログラム委員をさせていただきました。
日本緩和医療学会にて緩和ケア医の新城拓也先生が共同研究の発表をしてくださいました。PALに参加しました。
日本癌治療学会市民公開講座で講演をさせていただきました。PALに参加しました。
婦人科腫瘍の緩和医療を考える会総会に参加しました。
日本臨床薬理学会市民公開講座のお手伝いと当日オーガナイザーをさせていただきました。
※今年は学会に多くの会員さんにも参加していただきました。ありがとうございました。

(臨床試験)

東北の共同IRBの理事
北関東婦人科臨床試験コンソーシアムの倫理審査
北里大学グローバル臨床研究センターアドバイザリボード(任期満了)
クリニカルリサーチプロフェッショナルズで「がん臨床試験と患者の視点」連載、「臨床試験と私たち」企画コーディネート

(その他)

多くの大学や企業や団体、患者会等で講演の機会をいただきました。
多くのメディアに取材いただきました。
厚労省などの会議の傍聴
などなど

2018年の活動

2018年の活動も徐々に決まりつつあります。

1月には東京で新年会、しゃべりば
2月には名古屋でしゃべりば、大阪でおしゃべり会開催
3月にはリンパ浮腫と家族性腫瘍・遺伝の勉強会
4月新年度開始
5月には世界卵巣がんデーと東京卵巣がんフォーラム
9月にはリレーフォーライフ芦屋とIGCS
 
多くの患者さん、ご家族と2018年も活動できること楽しみにしています。

謝辞

スマイリーの活動は多くの皆さまのご厚志により支えられています(応援団ページ)。
臨床研究等々に関わりたいという私の思いから企業からの支援はほとんどいただかないという形で活動させていただいており、みなさんからの寄付が活動の支えです。本当にありがとうございます。
会計報告は毎年3月末日に報告させていただいております。
 
スマイリーの活動を陰日向になり支えてくださった多くのみなさん
スマイリーの世話人のみなさん
3月まで、5年以上に渡り事務局を務めてくれたMさん
出会った全ての皆さまに感謝申し上げます。
 
来年も活動のポリシーである
「私たちの活動すべては卵巣がん患者さんのために」
「だいじょうぶ、ひとりじゃないよ」
という言葉を忘れずに、まだまだ至らない活動ではありますが頑張りたいと思います。
本当に1年間ありがとうございました。

2017年12月20日水曜日

【お知らせ】3月24日「ここが知りたい!卵巣がん(リンパ浮腫、家族性腫瘍、遺伝)」勉強会開催

いつも卵巣がん体験者の会スマイリーの活動にご理解いただきありがとうございます。
代表の片木です。

卵巣がん体験者の会スマイリーでは「ここが知りたい!卵巣がん」勉強会として、3月24日に二つの勉強会を開催いたします。

10時から12時 リンパ浮腫
(入れ替え/休憩)
13時から15時50分 家族性腫瘍、遺伝
 
会場は神田駅(東京都)徒歩3分の会場です。
参加費(午前・午後別):会員1000円、非会員2000円

現在、卵巣がん体験者の会スマイリーの会員優先で予約をしています。
お席の埋まり具合を見て一般の募集を2月中旬に判断します。
その際に、会場の詳細や、講師の名前をお知らせ予定です。


2017年12月6日水曜日

【お知らせ】おしゃべり会@大阪 2月4日に開催します。

いつもスマイリーの活動にご理解いただきありがとうございます。

2月4日に大阪でおしゃべり会を開催します。

日時:2月4日10時から12時50分

会場:新大阪丸ビル新館
http://www.japan-life.co.jp/access.php

参加費:会員五百円

たいへん申し訳ありません。
会員の申し込みが多く、会員のみの開催となります。


お問い合わせは

080−7038−9750(片木)
info.smiley@gmail.com までお願いします。

【お知らせ】2月2日名古屋しゃべりば開催します

いつもスマイリーの活動にご参加いただきありがとうございます。

2018年2月2日金曜日に名古屋でおしゃべり会をします。

会員:五百円
非会員:千円
(釣り銭なきようご準備ください)

日時:2月2日金曜日 13時15分から17時45分まで
場所:名駅会議室SOHOプラザ名古屋

アクセス
〒4500002 愛知県 名古屋市中村区 名駅3-24-8 三立ビル 2F

交通手段
名古屋市営地下鉄東山線 名古屋駅から徒歩10分
名古屋市営地下鉄桜通線 国際センター駅から徒歩10分

道案内
ユニモール6番出口より徒歩2分
ユニモール10番出口より徒歩1分

地図
https://www.google.com/maps?q=35.17232480000001,136.88660000000004&zoom=16
 
事前申し込みなしの好きなお時間にきて、好きなお時間に帰宅オッケーのしゃべり場方式です。
2階のお部屋に直接お越しください。
釣り銭なきようご準備ください。
会場は20名までしか入れないので、万が一いっぱいになった時は、時間をずらしてお越しいただくか、先にお越しになった方は退室いただく場合もございます。
譲り合いにご理解、ご協力ください。
当日のお問い合わせ:080−7038−9750(片木

【お知らせ】2018年1月6日 新年会【募集人数になったため受付終了】

いつもスマイリーの活動にご理解いただきありがとうございます。

2018年1月6日に新年会を行います。
残念ながら、新年会は募集開始から秒殺で申し込みが満員になってしまいました。

またその後ですが、別会場にて、スマイリー会員限定のしゃべりばも開催します。
こちらは若干名であれば参加できると思いますので世話人さんにご確認ください。

スマイリー代表 片木美穂

2017年12月1日金曜日

【コラム】卵巣がん治療後の性交渉について

いつもスマイリーの活動をご理解いただきありがとうございます。
代表の片木です。

患者会活動をしていて卵巣がんの治療後の性交渉についてご相談いただくこともあります。

その相談内容も多岐に渡るのですが、その中で少し多い相談が、性交渉で以前と身体の感覚が変わったり、膣からの分泌液が出づらくなり痛みを感じたりするのではないかと思い怖くてできないという相談が多いです。
実際は性交渉してみたらそんなにこれまでと変わらなかったという患者さんも多いのですが、不安は不安ですよね・・・。

インターネット上でジェルなどを売っていても海外のものや成分がよくわからないものも多く不安だなんて声もあります。
またパッケージが「家のどこに置いておくねん!」と思うようなデザインで困るなんて声もあります。

そこでタカクラ新産業から販売されているオーガニックジェルをご紹介します。
http://www.takakura.co.jp/fs/takakura/c/bdaORGANIC

産婦人科医の宋美玄先生も関わっておられるそうです。

宋先生のInstagramより
 
宋先生が院長をされている丸の森レディースクリニックでもサンプルを配布されており今後は発売もされる予定ですので東京駅近くにお立ち寄りの際に予約して術後の性生活の不安の相談に行かれるのも良いかもしれません。
 
相談するほどではないんだけど・・・と言う場合も、ウェブでの購入もできますし、このパッケージならデザイン性もかっこいいし家にあっても来客にギョッとされることもないかと思います。
 
パートナーと気持ちと身体が繋がるいい時間が持てますように。

2017年11月28日火曜日

【コラム】卵巣がんの初回化学療法について

あと数日で今年も残すところあと1ヶ月になりますね。
いつもスマイリーの活動にご理解いただきありがとうございます。
代表の片木です。
 
スマイリーでは電話や面談等々でご相談いただいたことを可能な限り記録しています。
前に同じような相談があったときにどうしたのかなとか、同じ方にもう一度お問い合わせいただいたときに前回どんな相談だったかなと思い出すための私の記録的なものであり、他人に決して見せることはありません。
 
まだ11月の段階ですが、今年も480件以上のお問い合わせをいただき、うち52件は面談でお会いしています。
多くの患者さんやご家族にお会いしたんだなぁと感じるとともに、それだけ患者さんやご家族が日々不安を感じてらっしゃるのだなとも思います。

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もっとも多い相談は上皮性卵巣がんの初回化学療法について


この3年、ダントツで相談件数が多いものがあります。
「卵巣がんの初回化学療法について」の質問です。

「私はパクリタキセル(タキソール)とカルボプラチンにベバシズマブ(アバスチン)をしていますが、勝俣範之先生のツイッターを見るとグレードCと書いてあり驚きました。この治療を続けていていいのでしょうか」

「私はTC療法をしていますが、患者さんのなかには同じ初回化学療法でも毎週治療を受けたり、ベバシズマブ(アバスチン)を併用されている患者さんもいるのですがなにが違うのでしょうか」
 
といった「他の方が受けている治療と違う」ことに関する不安を訴える相談がとても増えています。

※卵巣胚細胞腫瘍などについてはまた違う治療になりますのでご注意ください。

卵巣がん治療ガイドライン2015年版では


卵巣がん治療ガイドライン2015年版では

CQ9 推奨される初回化学療法のレジメンは?
<推奨>
TC療法(conventional TC療法)が強く奨められる(グレードA)
Dose-dense TC療法も奨められる(グレードB)

CQ18 初回化学療法もしくは再発症例に対する治療薬として推奨される分子標的治療薬はあるか?
<推奨> 化学療法と併用して、またその維持化学療法としてベバシズママブが考慮されるが、使用する際には、慎重な患者選択と適切な有害事象のモニターが必要である(グレードC1)

となっています。

このグレードというのはなんでしょうか。

科学的根拠(エビデンス)があるということ

科学的根拠(エビデンス)という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
科学的根拠がある治療については「質の高い臨床試験」が行われていることが不可欠です。
質の高い臨床試験について細かく説明しているとこの記事が終わらないので割愛しますが、現在のチャンピオンとなっている治療と効果が期待される新しい治療をランダム比較試験した臨床試験が科学的根拠(エビデンスレベル)が高いとされています。
質の高い臨床試験が複数あり、この治療は多くの患者さんにとってより有効で安全であることが確認されたものが「科学的根拠(エビデンスレベル)がもっとも高い」とされます。


「新しい抗がん剤を100人に投与しました30人に効果が見られました」というチャンピオンデータと比較していないものはエビデンスレベル3になります。いま、その病気の治療にもっとも使われている治療と同じ患者さんの選択基準で比較しなければ「いい」とは言えないのです。
 
「ある抗がん剤を投与したら効果があった人がいました」「僕の経験ではこうの薬はいいよ」はエビデンスレベル5になりエビデンスレベルが高いとはいえません。
 

日常診療への推奨度


科学的根拠の高い臨床試験をガイドラインに反映させる際、日常診療への推奨度(グレード)というものを設定されます。
グレードAが、エビデンスレベルの高い治療として、多くの患者さんにより有効性も安全性も高いとして標準治療として推奨されます。


ただし、臨床研究は世界でたくさん行われておりガイドラインに掲載されたあとにさまざまな結果がわかることもあり、ガイドラインは数年に1回のペースで専門家により見直されていきます。
卵巣がんは2004年、2007年、2010年、2015年とガイドラインが発行されています。
 

卵巣がんの標準治療の歴史

卵巣がんの標準治療は多くの臨床試験の積み重ねで、より有効で、より副作用等が少ない治療に変遷を遂げています。


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初回化学療法についてはどの治療?

先にもご説明したとおり卵巣がん治療ガイドライン2015年版では

CQ9 推奨される初回化学療法のレジメンは?
<推奨>
TC療法(conventional TC療法)が強く奨められる(グレードA)
Dose-dense TC療法も奨められる(グレードB)

CQ18 初回化学療法もしくは再発症例に対する治療薬として推奨される分子標的治療薬はあるか?
<推奨> 化学療法と併用して、またその維持化学療法としてベバシズママブが考慮されるが、使用する際には、慎重な患者選択と適切な有害事象のモニターが必要である(グレードC1)
 
となっており、グレードCと評価されているベバシズマブ(アバスチン)を併用している患者さんはとても不安だと思います。
 

TC療法(conventional TC療法)

パクリタキセル(タキソール)3週間に1回
カルボプラチン 3週間に1回
を6サイクル
 
これまで多くの臨床試験で卵巣がんに有効で安全である治療法。
長い期間、卵巣がんの治療に標準治療として治療に用いられてきたために効果についてわかっており、副作用の対策もしっかりされている治療法です。

Dose-dense TC療法

パクリタキセル (タキソール)を毎週
カルボプラチン 3週間に1回
を6サイクル

この治療法はJGOG3016という臨床試験において、日本人の卵巣がんの患者さん(卵管がん、腹膜がん:ステージ2−4期)に協力していただき、従来のTC療法と、タキソールを毎週に分割して投与する方法を比較した臨床試験です。
結果、無増悪生存期間(PFS)の延長(17.5mos , 28.2mos)、生存期間(OS)の延長(中央値で62.2mos , 100.5mos)が認められました。

しかし、血液毒性が強く出てしまう患者さんがいること、患者さんの生活によっては仕事や介護・子育てで毎週の通院が困難であったり、毎週遠方から通っている、雪深い地に住んでるなどで毎週の通院の継続が困難な場合もあるので医師と相談が必要です。

またこの試験はlancetという論文にも掲載され評価されたものですが日本人だけの臨床試験です。
2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された海外で行われた追試(リンク)では有意差が出なかったという報告もあり今後どのように評価されていくのかをみていく必要があります。

TC+Bev療法

パクリタキセル(タキソール)を3週間に1回
カルボプラチン を3週間に1回
を6サイクル
その2サイクル目から
ベバシズマブ(アバスチン)を21サイクル
 
2013年11月に卵巣がんにベバシズマブ(アバスチン)が承認されたことにより使われるようになったまだ新しい治療法です。

承認のきっかけになった代表的な臨床試験はGOG218試験です。

複数の国の卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの患者さん(ステージ3、4期)に協力していただき、
  • 従来のTC療法の群
  • TC療法に2クール目からベバシズマブ(アバスチン)を5サイクル併用した群
  • TC療法に2クール目からベバシズマブ(アバスチン)を21サイクル併用した群
で比較した試験です。
日本人の患者さんは44名協力いただいています(米国人1800名、韓国人29名)。
 
結果、従来のTC療法に比べて、アバスチンを21サイクル併用した群が無増悪生存期間(PFS)が3.8ヶ月延長したが、生存期間(OS)の延長は認めなかったことから(リンク)今後、国内外で行われているさまざまな追試の臨床試験の結果で評価が変わってくると思います。
 
まだ承認されて間がない治療法であることや、生存期間の延長が見られていないことから専門家の間でも意見が一致しないグレードCという推奨になっています。

<注意>
製薬企業は、このOSを延長しなかったということに対して異論を唱えたいのかSurvival Post-Progression(SPP)という概念を出してきて、PFSが延びているんだからOSも延びるはずという資料をアバスチンの資料として配っているようですが、あくまでも製薬企業の販促の一環ということで注意が必要です。
そんなこといったらdd-TCはPFSを11ヶ月延長してOSも延長しているわけですやん。ベバシズマブのPFS3.8ヶ月延長してOS延長なしの方がいい証明にはなりませんやんと素人の私は思います。

TC+Bev療法を受ける時にはしっかり説明を受け納得して

いま、多くの患者さんがこの投稿を見て驚かれていると思います。
というのも、スマイリーでおしゃべり会をしていてもここ3年ほどに初回化学療法を受けた多くの患者さんがTC+Bev療法をされていると伺うからです。

私は、TC+Bev療法が悪いとは言っていません。
ただガイドラインではまだグレードCの評価で「使用する際には、慎重な患者選択と有害事象のモニターが必要である」とされていることからきちんと患者選択をして欲しいと願っています。
その上で、患者さんにきちんとグレードA、Bという治療の選択肢があること、それらと比較してメリットデメリットを正しく説明をして患者さんが納得して治療を受けて欲しいと願っています。
適格条件
PS0−2、適切な骨髄・肝・腎機能を有する
除外条件
腸閉塞症状がある、腹部・骨盤への放射線治療歴がある、膿瘍がある、28日以内の手術施行、出血傾向がある、コントロール不良の高血圧、6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定狭心症の既往、NYHA Grade2以上の心不全、6ヶ月以内の脳血管障害、臨床的に有意なタンパク尿を満たす患者
前治療歴が少ない患者、消化管合併症がない患者を慎重的に選択すること。
静脈血栓症を潜在的に有する場合にも留意が必要。
残念ながら患者さんの多くはなぜベバシズマブ(アバスチン)を使うのかを説明を受けていないです。もしくは医師は説明をしたつもりかもしれませんが患者会に相談されるときにその事を理解している患者さんとはほとんど出会うことがありません。

例えばddーTC療法の項目に書きましたが患者さんによっては毎週の治療が苦痛になる場合や骨髄抑制が出やすい患者さんもいることから、ベバシズマブ(アバスチン)の併用も検討されることもあっていいと思います。

しかしそう言った説明もされていないからかここのところの相談事例ではTC療法を6クールした後の維持療法としてのベバシズマブ(アバスチン)がどうして必要なのか。
アバスチンを特段の副作用が出ていないのに辞めてしまう患者さんも見受けられます。
GOG218試験の結果や、企業が提供しているアバスチンの適正使用ガイドを見れば医師は21クール行う意味が説明できるはずです。
 
また21サイクルという長期間の治療になるため、その間の治療費の負担も大きな経済的副作用となっています。
そのこともご理解いただけかなくてはいけません。
 
これまでもなんども書いておりますが、「どの治療がいい」と私たちがいうことはできません。
どの治療にもメリット・デメリットはあります。
いま、治療中の患者さんはどうか医師と治療内容について確認して治療を続けていただきたいと思います。
 
また愛知県のある大学病院ではddーTC療法にアバスチンを併用する治療をされているようですがそれについては海外では有意差を認めていない臨床試験結果もあるため患者さんに適切に説明していただきたいと思います(リンク)。 

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まとめ:患者さんも医療に参加して


私は、患者さんの相談を受ける際に「医師に、どうしてその治療をすすめるのか聞きましたか?」と確認することが多いです。
でも多くの患者さんは「他に選択肢があることを知らなかった」「医師に質問をして気分を害されたらどうしようと思うとできない」とおっしゃられます。
 
でもそれで不安を抱え、「どうして他の人はあの治療なのに・・・」とか「私の治療は最善なのだろうか・・・」と不安を抱える時間は辛いと思います。
 
上記に示したように、今、卵巣がんの初回化学療法は複数の治療法が行われています。

そのいずれにもメリット・デメリットがあります。
逆にいえば患者さんの生活に合わせて選択することも可能です。

治療にあたり、みなさんが優先したい事項もあると思います。
例えば働いているから通勤しながら治療できるものがいい。
病院に行く回数はどうか。
治療費の負担
そういう希望を患者さんはしっかり伝えると良いかと思います。

医師とよく話し合い、合意の上で治療を進めていただきたいと思います。
私たちは、がんという病気と長い時間向き合っていきます。
そのためにも医師に思いを伝えられる、疑問や辛いことや不安を伝えられるということはとても大切だと思います。

患者さんやご家族からすると自分の病気が人質に取られているような気持ちになるという方も多いですが、一方で医療に携わる側も、私たち患者会も患者さんが思っていることを伝えていただけないと「大丈夫なんだな」「納得しているんだな」と思ってしまう部分もあります。
 
私は医療従事者じゃないので拙い説明でたいへん申し訳ありませんが、初回化学療法のことで悩まれる患者さんの考えの整理の助けになれば幸いです。